視覚障害者と一緒に山歩きを楽しむ会・六つ星山の会・見えても見えなくても山は素晴らしい

視覚障害者のサポートの仕方

【1】
基本的には視覚障害者1人、健常者2人が一組になり、視覚障害者を中にはさんで歩きます。
視覚障害者は左手(または右手)に杖を持ち、空いた手を前の健常者のザックに乗せたり、ザックに取り付けた紐を掴んだりして歩きます。
サポートは「安全第一」が基本です。
「危険箇所ではゆっくりと慎重に」行動してください。難しい場所では他の健常者にサポートの手助けを依頼することも考えましょう。前を行く人から遅れても、あわてないことです。
【2】
歩く前に班ごとに集まり、そこで実際に一緒に歩く仲間と打ち合わせをします。
弱視の方からは、暗いところは見えないとか、下りは不安だが登りは大丈夫とか、具体的にどのようにサポートして欲しいかを聞いてください。
【3】
山歩きが始まると、道の説明は前を歩く健常者が行います。
後の健常者は前の人には見えない足場などの注意をします。
特に危ない場所では、右側が切れているというように説明 します。
これは、右側が崖沿いになっていて危ないので気をつけるように、ということです。
このような場合には杖で右の斜面を確認しながら歩いてもらいます。
危ない箇所が終ったら、切れているところは終りました、というように説明します。
また大きな段差があるところ、足元に倒木があるところ、頭の高さに枝が出ているところなどでは、「50センチ登って」、「倒木があるから跨いで」、「枝が出ているから頭を下げて」などと注意します。
その他、次の点に留意してください。
ひざがぶつかるような岩角や切り株、目やひたいを傷つけそうな小枝、つまずきそうな大きな石ころなども注意します。
身体がぶつかりそうな立ち木はたたいて知らせます。
道の端が切れ落ちたところでは、視覚障害者に真後ろを歩いてもらいます。
岩場や急斜面の急な登り下りでは、視覚障害者はザックから手を離し、両手を使って岩や木をつかんで登ってもらいます。そ の際、後ろの健常者は掴まるところや足の置場を指示します。
飛び石伝いの川の渡渉では、杖等で足場をよく確認してもらってから渡ります。
丸木橋は慎重に渡りましょう。
登りより下りが難しいので、自信がないときはサポートを代わってもらいます。
たとえば、急な下りでは視覚障害者がのしかかってくることがあります。
前の健常者はできるだけ前を向いてサポートします。これは視覚障害者にとってはザックの動きが段差や歩く方向を知る 手掛かりになっているので、前のサポートが後ろを向くと間違った指示を示すことになるからです。
斜面の上の方を人が歩いているときには落ちてくる石に注意し、下の方を人が通っているとき落石を起こしたら即座に大声で「落石」!と叫び、周りの注意を喚起します。
サポートの紐は長く垂らさないようにします。視覚障害者が転んだときや滑落したときに健常者の身体が引っ張られ易くなる ためです。
車道歩きでは、うっかりしがちですが自動車に注意します。
余裕が出てきたら、「花が咲いている」、「向こうに山が見える」というような説明もしてください。時間があれば、草木にさわ ってもらいます。
1時間に1回を目途にサポートを交代します。疲れないため、またせっかく参加したのにサポートしないで帰る人がいないよ うにするためです。
視覚障害者がザックを押したり、紐を引っ張ったりすることがあります。ある程度はやむを得ないところですが、常時となっ たときには相手に注意をうながします。ただし、登山に慣れていなかったり足弱の視覚障害者の場合には余裕がないためにや むを得ず行うのでそのまま歩くこととし、万一サポートが難しいと判断した時には班長に相談してください。
途中で全体のペースが速くて付いて行くのが厳しいと感じるようになったら、早めに班長にそのことを伝えます。
山歩きの途中でトイレに行きたくなった時には、班長に申し出ます。決して一人で無断で班を離れないようにします。
車道歩きでも、班のまとまりをくずさないようにします。バラバラになって道に迷ったことが数回あったからです。
体力的にサポートが難しい方も参加は可能なので、積極的に班に加わって視覚障害者とともに山を楽しんでください。その 場合には、申込時に申し出てください。
靴はくるぶしを包む布製か革製の登山靴とします。見えないことから視覚障害者にけられたり、踏まれたりするためです。
そのようなことからも一般のスニーカーは、滑りやすいこともあり適しません。
冬は低い山でも登山道に雪があったり凍ったりするので、軽アイゼンが必要なときがあります。必要とされるときには、山行 案内に明記してありますので、その時は持参してください。