天 候 : 18日曇り一時雨 ・ 19日晴れ
参 加 : 27名 視覚障害者7名、晴眼者20名(うち会友2名)
コースタイム概略 :
8月18日(土)
富士見高原登山口 10:40 ・・・ 不動清水 11:10
・・・ 標高1850m
昼食 12:10〜12:30 ・・・ 西岳
2:30 ・・・ 乙女の水 4:00 ・・・ 青年小屋 4:05
8月19日(日)
青年小屋 6:10 ・・・ ノロシバ 6:40 ・・・ 権現小屋
7:40 ・・・ 権現岳 7:50 ・・・ 青年小屋 荷物整理
9:25〜9:45 ・・・ 編笠山 昼食 10:50〜11:20
・・・
盃流し 2:35 ・・・ 富士見高原登山口 3:05
着
写真にカーソルをあててください。写真の説明の文章が表示されます。
今回は八ヶ岳のいくつかあるピークの中から、西岳、編笠山さらに権現岳に登頂する。六つ星山の会としては先月の硫黄岳、峰の松目、根石岳に続いての八ヶ岳山行となる。しかし同じ八ヶ岳であっても、今回の山行は先月とは全く違う山行になった。 先月は樹林帯の中心に緩やかな斜面での比較的ゆったりとした登山だった。天候は優れなかったが、逆に濃霧が高山植物を濡らし、女王コマクサ以下、ちょうど見頃を迎えた花々を、よりみずみずしく艶やかに見せた。これらの花々との出会いは展望には恵まれなかったことを補って余りあり、十分満足できる楽しい山行となった。そしてその雰囲気は視覚障害者にも伝わったようだった。 一方、今回は第一日目こそ富士見高原ゴルフ場をスタートしてから西岳を経て、編笠山と権現岳の鞍部にある青年小屋までは緩やかな樹林帯の中での登りだった。しかし青年小屋に一泊し、一夜明けた第二日目から、様相がガラリと変わる。天候は前日の曇り(一時小雨)から一変し、朝から頭上には雲ひとつない予想外の快晴になった。青年小屋を一歩出ると雲海に浮かぶ富士のシルエットが美しい。そして午前6時を少し回ったころ、今回の山行の本番とも言うべき権現岳、編笠山の山行が始まった。まずは権現岳の山頂を目指す。高度を増すに従って展望が一段と開ける。真っ先に姿を現したのは南アルプスの甲斐駒、続いて北岳、仙丈。そしてノロシバを経て編笠山を眼下に見下ろすころになると、中央アルプスの木曽駒、その後ろには御嶽山、乗鞍、そして早朝は雲に隠れていた穂高、槍、大天井、鹿島槍、五竜など北アルプスの山々がはっきり見えてきた。 一方、眼前にはこれから行く急峻な権現岳の岩場が迫ってくる。この先には鎖場があるという。果たして視覚障害者同伴でそこを通過できるのか。実は権現岳の登山は当初の計画にはなかったという。直前の総会で急遽決まったそうだ。そこで安全を期するため前日、西岳の山頂手前で男女4名の健脚先発隊が本体と行動を別にし、下見のため権現岳に登った。彼らの判断は悪天候にならない限り視覚障害者同伴でも登頂は十分可能とのことだった。それに従っての決行だ。実際に鎖場に来てみると、斜面は鎖場としては比較的なだらかで、鎖は固定されており、足場も確りしているため、今日の天候ならあまり危険はなさそうだ。 |
われわれ一行は途中、ウスユキソウ、ウメバチソウ、チシマギキョウなどの花との出会いを楽しみながら、一般の標準タイムに遅れることなく、午前8時前には無事権現岳山頂に到着した。山頂を示す鉄の剣に触り感激する視覚障害者も多かった。山頂を踏破した後、同じ道でいったん青年小屋に戻り、荷物を整理した後、午前10時過ぎに最後の編笠山の山頂を目指す行程に出発した。 出発してすぐに大小の岩塊がゴロゴロしている岩原を通過しなければならない。登る前から視覚障害者にとっては権現岳の鎖よりこちらのほうが難関ではないかとの懸念が一部にあった。たしかに視覚障害者の勘は鋭く、彼らはまるでつま先に目があるかのように登山をするが、ここの岩と岩との間には隙間があり、その幅や段差が各々異なる。このような場所では、よほどサポーターがうまく誘導しないと、彼らの勘が働きにくいと思われたからだ。実際に登り始めると、視覚障害者の中で岩場に慣れた人とそうではない人との歩行速度に差が出た。 こうした過程でも展望は引き続き良好で、振り返ると先ほど登った権現岳に加え、八ヶ岳の最高峰赤岳や、蓼科山も姿を見せる。山頂での展望は360度に開けた。ここで昼食休憩、全員で記念撮影をした後、昼過ぎに下山を開始した。しかし山頂からの下りも暫くは岩原で、ここが今回の山行で最もきつい行程となった。その結果、班毎に分かれたパーティの間の距離が開くなど若干の足並みの乱れによる混乱が生じてしまった。 しかしこうした問題があったにせよ全体としては、最高の展望の中で、スリルと変化に満ちたコースを歩けたことは、先月とは違う意味でとても楽しい山行となった。 こうした山にあえて挑み、天候に恵まれたとはいえ大きなけが人も出さずに完歩できたことは、視覚障害者にとっても、六つ星山の会にとっても大きな成果の一つであり、今後の活動に対しての自信に?がったのではないかと思う。 今回の山行は一部の参加者にとっては多少きついところもあったかもしれません。しかし一寸高い山に挑もうとすればこれと同程度か、これ以上の困難を伴うことは決して珍しいことではないでしょう。今回はちょっときつかったなぁと感じた方も、この山行をワンステップとして、これからもこうした山に是非挑戦してください。 |