2007年2月 会山行報告

深高山(しんこうざん)(506m)・
石尊山(せきそんさん)(486m)
・G2・2月18日(日)

天 候 : 雨のち曇り

参 加 : 12名 : 視障 3名、晴眼 9名(内 会友3)

コースタイム概略 : 

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◆ 小雨の中の樹林帯の山行「結構滑りました」 ◆ 深高山山頂近くのやや急な岩場「晴眼者、障害者が協力し合い難なく通過」

 今回の山行は栃木県足利市の深(しん)高山(こうざん)と石(せき)尊山(そんざん)。栃木の山といえばまず浮かぶのが日光連山で、足利の山といわれてもあまりぴんと来ない。しかし考えてみれば、内陸でしかも群馬県に近い足利に山があるのは当然だ。そんな未知の街の未知の山との出会いは山の楽しみの一つ。ひょっとしたらはるか昔に尊氏の祖先や隣町の新田義貞が登ったかもしれない。そんな源氏ゆかりの地での歴史ロマンも沸き立つ楽しみな山行だ。
 しかしそんな気分を前夜から降り続く雨が帳消しにした。これではロマンどころか展望も期待できない。午前中には止むという天気予報を信じたいが、9時25分に足利市駅前を出発したバスに、もう30分以上も乗っているのに一向に雨脚は弱まらない。諦めムードが広がり皆車内で一斉に雨具を身に着け始める。50分ほどバスに揺られ、やっと目的地の松田4丁に到着。これだけ乗ってもバス代は僅か1人200円。
 そこから深高山登山口までは歩いて40分ほど。歩くうちにようやく雨は小降りになった。途中雨を避け猪子トンネルでいったん集合、班の編成と自己紹介を行う。雨のせいか参加者は12人と少なく、うち視覚障害者は3名。これ以降は3班に別れ、班毎に視覚障害者1名をサポートする。
 深高山への登山道は比較的緩やかな斜面が多かった。私と2名の初参加のサポーター以外は、3名の視覚障害者をはじめ超ベテランばかり。なにせこの雨の中でも参加してくる連中だけに健脚が揃っており、このメンバーでこの斜面なら問題はなさそうだ。雨で所々滑りやすい箇所があったものの、滑った・転んだといったパフォーマンスを演じる(?)役者はいない。山頂に近づくにつれ急な岩場も多くなったが危険はない。初参加のSさんが視覚障害者の歩きを見て「障害物を巧み避けていますね。見事ですね」と、しきりに感心していた。
 深高山山頂には11時45分頃に到着。雨はほぼ上がっていた。そこで昼食休憩をとり、石尊山に向かう。石尊山という名の山はどこにもある。後日地図を見ていたら栃木県で他に2つ(うち一つは足利市にある)見つかったし、関東だけでも群馬、埼玉、千葉にあるのを知っている。誰かが言っていたように石切り場跡なのだろうか。ここの石尊山山頂は狭くて目立たないが、その先には見晴台が広がっていた。ただ当日は雨あがりでガスが濃く、白黒の墨絵の山々が見えるのみ。展望台のすぐ下は石尊神社奥の院。小さなお堂にはユニークで素朴な天狗とカラス天狗のお面がかかっていた。そこからの降りは岩場だった。といっても斜面は緩やかで、短いが甲斐駒の六方石あたりの山道のようだ。
 石尊不動尊のお堂を横に見ながら午後2時前にはバス通りに到着。JR小俣駅までは歩けば1時間程度という。山道なら皆いくらでも歩くのだが、アスファルトの上を底の硬い登山靴で1時間も歩くのは誰でも嫌だ。しかしバスは2時間以上も来ないし、タクシーも拾えない。仕方なくタクシーが来たら拾うつもりで歩き始めたが、タクシーどころか人や車にもほとんど出会うことなく、標準時間より大分早い40分程度で小俣駅に着いた。
 今回は当初期待した歴史ロマンに浸る山行にはならなかったものの、終わってみればやはり視覚障害者と晴眼者が協力し合う、とても楽しい充実した1日になりました。この山行を計画、準備され、当日はリードをしてくだされた六つ星山の会幹部の方々、並びに参加された全ての皆様、いろいろありがとうございました。こころより感謝申し上げます。
◆ 深高山山頂「本日の最高点、ようやく雨が上がったものの展望はなし」 ◆ 石尊山山頂、この先の展望台から墨絵のような山の風景が見られました」