天候: 11日 曇りのち雨,12日(登山) 曇り時々霧雨
参加: 17名(視覚障害者6名,晴眼者11名うち会友1名)
コースタイム概略 :
11日:池袋7時10分発(貸切バス)−遠野村14時30分着。15時から30分、「語り部」の民話を聞く。16時「遠野ふるさと村」見学、17時終了。「カッパ淵」見学後、岳集落へ、19時30分に民宿「大和坊」着。
12日:5時30分民宿発(貸切バス)−6時小田越登山口着、6時15分登山開始−9時頂上。9時30分下山開始−12時10分小田越着。12時30分発(貸切バス)−池袋21時30分。
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参加者17名(うち視覚障害者6名)。申込み受付当初は視覚障害の方からの申込みが9名にも達し、喜ぶ一方で、サポート集めに奔走したが、その後、視覚障害者の参加取消しが相次ぎ、結局、サポート体制には余裕のある山行となった。ホットはしたが、無理に参加をお願いしたサポーターには「すいません」の気持ちでいっぱいである。
1日目は遠野の観光。観光協会で語り部のおばさんから遠野の民話を30分ほど聞いたあと、「遠野ふるさと村」やカッパが住んでいるという有名な「カッパ淵」を見物。暗くなって、登山口の岳集落へ。
民宿「大和坊」(ヤマトボウ)での夜は大雨。翌日の天気は岩手県全域が大雨、強風、ときどき雷、最高気温21度の予報。しかも、山のある花巻市は降水確率100%という最悪の状況となり、「高いお金をかけてこんなに遠くまで来たのに、登らずに帰るのは残念。でも、安全第一。明日は雨の降っていない関東地方まで戻り筑波山にでも登って帰ろうか」と思って床に入ったが、翌朝4時30分に起きてみると、雨が止んでおり、花巻の午前中の予報は降水確率40%と劇的に変化していた。
5時30分、全員、朝食は食べずに、宿で作ってもらった弁当2食を持って、バスに乗車。途中、河原坊で、盛岡から取材に来た読売新聞の記者2人と合流し、小田越峠へ。6時15分、登山スタート。時折、霧雨。30分で森林限界を越え、岩の積み重なる登山道へ。はじめは、強風、霧雨で、雨具を着けていても寒いくらい。大雨になれば引き返そうと思いながら歩く。と、5合目辺りで雨が上がった。ラッキー! 曇りなのに心は晴れた。このあたりは種類の多さでは我が国でも比類がないほどというお花畑。有名なエーデルワイスに似たハヤチネウスユキソウの季節は過ぎていたが、白いウメバチソウ、黄色のアキノキリンソウ、ピンクのトラノオなどが見られた。8合目、垂直に近い岸壁にかかる2段の鉄梯子(1段が10m位)を慎重に登る。薄日が差してきた。9時、周辺に岩の重なる、広々とした山頂に着く。立派な避難小屋あり。上空は曇りだが、登ってきた登山道のすべてが見渡せるほどに雲がとれ、はるか雲の合間には青空も望めた。小屋(ふだんは無人)にいた登山指導員に聞くとその青空は太平洋の青い海だという。雲の上には遠野方面に薬師岳も望める。雄大な展望。
30分の朝食休憩を採り、下りは河原坊へ直接下りる道を採ろうとしたが、指導員に「谷川の渡渉が4回ほどあり、増水で危険。浮石も多い」と止められた。「行ける、大丈夫」とは思ったが、強行せずに来た道を戻る。途中、頭上に晴れ間も見えた。岩が積み重なる急な下りがあり、足元が滑り易く視覚障害者はやや苦労したが、12時10分、無事に小田越着。また、霧雨となる。貸切バスで帰る途中も、埼玉に入るまで雨だった。
登山日の午前中だけ、ほぼ雨の降らない天気を恵んでもらえて、天に感謝。帰りに全員で岳集落の早池峰神社に寄り、心から感謝の祈りを捧げた。また、この奇跡を起こしてくれた遠野のカッパにも心の中でお礼を言った。