2014年5月 個人山行報告

薬師岳(1420m)、夕日岳(1526m)、地蔵岳(1483m)、行者岳(1329m)・G3 : 5月17日(土)〜18日(日)

天候:両日とも晴れ

参加: 17名(視覚障害者6名,健常者11名)

コースタイム概略 : 
17日:東武日光駅(9:40)−(タクシー)→細尾峠(10:30)…(11:20)薬師岳(11:30)…(12:40)三つ目(13:00)…
(13:30)夕日岳(13:40)…(14:18)地蔵岳(14:23)…(14:50)ハガテ平(15:00)…(16:40)古峰神社(宿坊泊)
18日:古峰ヶ原神社バス停(8:00)…(10:22)三枚石(10:32)…古峰ヶ原(11:16)…(12:00)行者岳(12:30)…
(14:25)古峰ヶ原神社バス停(14:35)→(15:28)東武新鹿沼駅・解散

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◆夕日岳に向かう途中にある不動明王の祠◆ ◆見頃を迎えたアカヤシオ◆
◆夕日岳の頂上で集合写真◆ ◆今日の宿坊は天狗信仰で有名な古峰神社◆
東武浅草駅から乗り込んだ快速電車のなかは、多くの立ち客がでるほど混雑し、終点の日光駅に着けば、その改札を通過するための行列ができていた。さすが、東照宮や輪王寺、二荒山神社など世界遺産を抱える観光地の玄関口だけのことはある。 しかも、この日は、ちょうど東照宮の春季例大祭に当たっていたため、普段の休日より更に人出が多かったのだろう。大勢の観光客や登山用ザックを背負ったグループに交じって、私たち17人も押し出されるように駅前広場に降り立った。
このような状況のため、事前にジャンボタクシーが確保できず、一時は山行ルートの変更と延長も余儀なくされるかと思われたが、駅前にずらりと並んだタクシーに難なく分乗することができ、当初の予定通りスタート地点の細尾峠に入ることができた。
日光市街をぬけ、新緑の眩しい山間の道を快走するタクシーの車中では、運転手さんの軽妙な語り口のガイドで、この山域に咲く数種のツツジについてや、東照宮の見所、日光開山の祖として名高い勝道上人(しょうどうしょうにん)の偉業を聞かせていただいた。
私たちが今回たどった禅頂行者道(ぜんちょうぎょうじゃみち)は、その勝道上人が、天平時代末期から平安時代初期にかけて古峰ヶ原(こぶがはら)を拠点に日光二荒山(男体山)開山に至った道筋にあたり、後の時代にも修験者が行き交った山岳古道なのだそうだ。
薬師岳、地蔵岳など、その名前からも山岳信仰と深い繋がりの感じられる縦走路からは、勇壮な山容の男体山や、たおやかに山裾を広げた女峰山、残雪を頂いた白根山など素晴らしい景色を望むことができたかと思えば、アカヤシオ、シロヤシオ、ヤマツツジ、トウゴクミツバツツジと、様々な種類のツツジの花やオオカメノキの真っ白な花を楽しむことができた。 そして、足元には、スミレ、チゴユリ、ワチガイソウ、ハルリンドウなど、春を告げる小さな花々も姿を現し、ついつい歩みが遅れそうになったが、この日の宿となる古峯神社(ふるみねじんじゃ)の宿坊には、ほぼ予定時刻通り到着することができた。
ところで、この人里離れた神社の宿坊、きっと簡素なものだろうと思っていたら、何とそれは手入れの行き届いた広大な境内に建つ、桧皮葺の立派な建物だった。そして、神酒つきの美味しい食事、清潔な部屋にゆったりと敷かれた布団と、山旅には勿体ないほど贅沢なもてなしに、思わず喜びの声を上げてしまった。 また、身を清めるための潔斎場(浴場)で、汗もさっぱり流させていただいた。
快適な宿坊で身体を休めた翌朝は、担当者以外のメンバーには当日まで行く先の知らされていなかったミステリーツアーへ出発だ。 この周辺には担当Mさんお勧めのステキな山が幾つもあり、あれこれ考慮した結果、行者岳を目指すことに決まった。
未知のピークに向かって歩みを進めると、そこは三点支持でグイグイ登らなければならない岩場があったり、長く急な傾斜を直登したり、何度もアップダウンを繰り返したりと、とても変化に富むものだった。 また、登山道の途中で、山伏の装束をまとい法螺貝を携えた修験者の一行ともすれ違い、改めて、ここが行者道であることを実感した。
瑞々しい新緑と色鮮やかな花たちを愛でながら、いにしえの道を歩くことのできた今回の山旅は、天候にも恵まれ、紙面に書ききれないほど楽しく、とても充実したものになった。
担当者および参加者のみなさま、大変お世話になり、ありがとうございました。今回、周りきれなかったミステリーゾーンへ、ぜひまた足を運んでみたいものです。
(T.W 記)
◆険しい岩場を慎重に乗り越える◆ ◆三枚石の前で集合写真◆
◆修験者ツアーの一行とすれ違う◆ ◆広々とした古峰ヶ原に到着◆